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メモアプリの「ロック」機能と写真の隠しフォルダアプリ、何が違う?

Mehmet Ali Kısacık · 「秘密のアルバム」開発者 · 2026年8月28日 · 9分で読了

Professional reviewing documents in a folder while sitting outside, dressed in business attire.
Photo by Felicity Tai on Pexels

iPhoneの「メモ」アプリには個別のメモにロックをかける機能がある。一方で写真や動画をまとめて隠すには、隠しフォルダをうたう専用アプリを使う選択肢もある。どちらも「他人に見られたくない」という同じ動機から使われるが、仕組みも得意分野もかなり違う。この記事では両者を具体的に比較し、自分の用途にはどちらが合うかを判断できるようにする。

メモの「ロック」機能はどういう仕組みか

メモアプリでロックをかける手順はシンプルだ。

ロック解除にはFace ID、Touch ID、デバイスのパスコード、あるいはメモ専用に設定したパスワードが使える。Apple Supportによれば、デバイスのパスコードでロックする方式を使うにはiCloudキーチェーンをオンにしておく必要があり、そのためにはApple Accountの二段階認証が有効になっている必要がある。

技術面はApple自身が公開している。ロックしたメモとその添付ファイル(画像、スケッチ、表、マップなど)は、ユーザーが設定したパスフレーズをもとにPBKDF2とSHA-256で16バイトの鍵を導出し、AES-GCMで暗号化される。認証にはOptic ID、Face ID、Touch ID、あるいはパスフレーズそのものが使われ、パスフレーズを変更するには現在のパスフレーズの入力が必須で、生体認証だけでは変更できない。またロックしたメモは、一定時間バックグラウンドに置かれると自動的に再ロックされる(iPhone・iPad・Vision Proでは約3分、Macでは約8分)。詳しい暗号化方式はApple Platform Security Guideで確認できる。

ロックされたメモはiCloudアカウント経由で同期され、このエンドツーエンド暗号化はiCloud同期されたロック済みメモにも適用される。追加のアプリを入れず、使い慣れたメモ帳の延長でロックできる手軽さは大きな利点だ。

  • ロックしたいメモを開く。
  • 右上の「その他」(…)をタップする。
  • 「ロック」を選ぶ。
  • 「iPhoneのパスコードを使用」か「パスワードを作成」のどちらかを選ぶ。

メモロックの限界 — 写真整理には向かない理由

一方で、メモロックには構造的な限界がいくつかある。

まず検索の問題がある。ロックされたメモは本文もタイトルも検索対象から外れる(Apple Communityでのスペシャリスト回答による)。1つ2つのメモならともかく、写真を大量に貼り付けたメモを何十件も管理し始めると、目当てのものを探し出すのが難しくなる。

次に、そもそもメモはアルバムやフォルダのように写真・動画を整理する設計になっていない。1枚の画像を貼るだけならできても、大量の写真を分類したり、動画や書類を横断的にまとめて管理したりする用途にはそぐわない。

パスワードを忘れた場合の扱いも重要だ。カスタムパスワードを設定し、それを忘れてFace ID/Touch IDでもアクセスできなくなった場合、Appleはそれらのメモへのアクセス回復を一切支援できない。設定画面からパスフレーズをリセットすることはできるが、これは新しい暗号化コンテキストを作るだけで、過去にロックされていたメモは元のパスフレーズなしでは読めなくなる。

さらに、メモロックはパスワード(あるいはデバイスパスコード)を使い回す仕組みのため、そのパスワードが漏れると複数のロック済みメモがまとめて影響を受けうる、という指摘もある。ただしApple Accountごとに複数の別パスフレーズを使い分けることも可能だ(Business Insider Japan、2024年6月5日)。

写真を隠す専用アプリという選択肢

写真、動画、書類をまとめて整理しながら隠したい場合は、専用の隠しフォルダアプリという選択肢がある。秘密のアルバム - 写真の隠しフォルダ(Secure Folder: Incogni Vault)はその一例で、写真・動画・書類・メモを金庫と呼ばれる領域にまとめて保管し、PINまたはFace ID/Touch IDでロックする仕組みを持つ。PINは6桁の数字で設定する。

秘密のアルバムには大きく4つの機能がある。

メモアプリと同様、秘密のアルバムも中身は端末内にのみ保存され、独自のサーバーは持たずアカウントも不要だ。ただしFirebase Analyticsを通じて匿名の利用状況データを送信しており、これに金庫の中身は含まれない。クラウドバックアップの仕組みは持たないため、端末を紛失した場合に開発者側で金庫の中身を復旧することはできず、PINをリセットする仕組みもない。忘れた場合の救済策はFace ID/Touch IDのみだ。なお、ユーザー自身がiCloudバックアップやFinderバックアップを有効にしている場合、金庫の中身もそのバックアップには含まれる — アプリ自体が外部にアップロードするわけではないが、これは別問題として理解しておく必要がある。詳しいプライバシーの考え方はプライバシーポリシーにまとめている。

保護の仕組みについても正確に説明しておくと、これはiOSのData Protectionという端末パスコードに連動したハードウェアベースの保護によるもので、独自の暗号化方式を主張するものではない。PINそのものが復号の鍵になっているわけでもない。

  • 隠しフォルダに写真や動画、書類、メモをまとめて整理できる(無料。無制限の取り込みにはIncogni Proが必要)。
  • おとり金庫 — 別のフェイクPINを設定すると、本物の金庫とは完全に別の中身が入った金庫が開く(Incogni Pro限定)。
  • 侵入者アラート — 設定した回数連続で誤ったPINが入力された場合にのみ、前面カメラで撮影し侵入者ログに記録する(Incogni Pro限定。毎回撮影されるわけではない)。
  • ステルスモード — ホーム画面のアイコンを電卓など見た目上ふつうのアプリに偽装できる(無料)。ただし偽装後にタップしてもロック画面が表示されるだけで、本物の電卓として動作するわけではない。

どちらを選ぶべきか

判断基準はシンプルだ。数件のテキストメモや、ちょっとした画像を1枚だけ隠したいなら、標準のメモロックで十分間に合う。追加のアプリを入れる必要がなく、Appleの暗号化技術に裏付けられた仕組みがそのまま使える。

一方で、大量の写真や動画を整理しながら人目から隠したい、フォルダ単位で管理したい、万一の状況に備えておとり用の別領域も用意しておきたい、といったニーズがあるなら、専用の隠しフォルダアプリのほうが向いている。用途に合わせて使い分けるのが現実的な答えだ。

よくある質問

メモのロックとFace IDのロックはどちらが安全ですか??

どちらも認証方式の一つで、優劣を単純比較できるものではない。メモロックはAppleの暗号化技術に基づく仕組みで、Face ID・Touch ID・パスフレーズいずれでも解除できるが、パスフレーズを忘れて生体認証も使えなくなった場合、Appleはアクセス回復を支援できない。

メモのロック機能で写真を大量に管理できますか??

技術的には画像を貼り付けられるが、メモはアルバムやフォルダのように大量の写真を分類・整理する設計にはなっていない。ロックされたメモは検索対象からも外れるため、件数が増えるほど管理が煩雑になりやすい。

隠しフォルダアプリのPINを忘れたらどうなりますか??

秘密のアルバムの場合、PINリセットの仕組みは用意されておらず、Face ID/Touch IDのみが救済策になる。それも使えない場合、開発者側で金庫の中身を復旧する手段はない。

メモのロックはiCloudと同期されますか??

される。ロックされたメモはiCloudアカウント経由で同期され、そのエンドツーエンド暗号化はiCloud同期されたロック済みメモにも適用される。

隠しフォルダアプリの中身はクラウドにバックアップされますか??

秘密のアルバム自体が金庫の中身を外部サーバーにアップロードすることはない。ただし、ユーザー自身がiPhoneのiCloudバックアップやFinderバックアップを有効にしている場合、金庫の中身もそのバックアップには含まれる。

写真を、自分だけのものに。

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